2012年2月26日日曜日

ハウステンボスはなぜ再建できたのか (『カンブリア宮殿』を観て)

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久しぶりに「読書感想文」以外のブログ投稿です。


ここ何年かで、自分のテレビの視聴スタイルは
大きく変わりました。

どう変わったかというと、
リアルタイムで番組を見る比率が大幅に減り、
観るのはほとんどが録画予約した番組です。

そもそも仕事が忙しいので、
あまりテレビをゆっくり観る時間もなく、
どうせ限られた時間しか観ないのであれば、
厳選した番組を観たいと思い、
「連ドラ予約」機能を使って、観たい番組を
内蔵のHDDにどんどんため込んでいます。

基本的にメインで予約しているのは、
以下の3つの番組です。

①ワールドビジネスサテライト
②カンブリア宮殿
③ガイアの夜明け
(別にテレ東の回し者ではありませんよ)

①は、平日仕事から帰って来て観ます。
②と③は、ためておいて、土日に観ます。
そして、基本的には、2倍速で観ます。笑


前置きが長くなりましたが、今日、
例によって録画していたカンブリア宮殿を観たのですが、
なかなか面白かったのでご紹介です。

ゲストはハウステンボスの澤田秀雄社長です。

18年連続で赤字だったハウステンボスを
どうやって開業以来の黒字に転換させることができたのか、
前々からとても気になっていたので、興味深い内容でした。

澤田社長が再建のために行ったのは、
大きく言うと、以下の3つだそうです。

①負担を減らす
②驚きと感動で客を呼ぶ
③異業種の力を使う(シャープ、ワンピースなど)

①は、具体的には、
固定資産税などの税金の免除を佐世保市に求めたそうですが、
いわゆる「コストカット」という意味では、
経営破綻した企業としては当然のことだと言えます。

個人的に、すごいなと思ったのは②の部分です。

驚きと感動で客を呼び、そしてリピーターを作るために、
イベントやアトラクション等への投資を
これまでの2倍以上に増やすという積極投資を行いました。

赤字の企業がそれだけの積極投資を行うことは
非常に勇気のいることだと思いますが、
そもそも赤字だった一番の原因はリピーターが少なかったことで、
それを解決するためには「驚きと感動」が必要だったのでしょう。

その取り組みの一例として紹介されていた
日本最大規模の3Dプロジェクションマッピングは
TVを通して観ても迫力があり、
観に行きたいと思わせる力がありました。

YouTubeで動画を見つけたので貼り付けます。




「驚きと感動」でリピーター(ロイヤルカスタマー)を作るという構造は、
なんとなく、ザッポスと似ている気がします。


そして、澤田社長が次に力を入れているのが、
「東アジアと九州の共生」です。
その足がかりとして、長崎-上海間を船で結び、
中国から大量の観光客を呼び込もうとしています。

東京から希望して地元九州に戻ってきた自分としても、
「東アジアと九州の共生」というのは、
非常に関心のあるテーマですし、
九州経済の未来を語る上で最重要テーマの一つだと思います。

黒字化したハウステンボスが
今後、どこまで再建を果たすのか、
とても興味深いですし、
小学校の修学旅行以来のハウステンボスに
行ってみたくなりました。


ちなみに、
自分がいつも読んだ本についてブログを書いているのは、
せっかく本を読んで得た知識や考えを、そのままにせず、
一度整理し、自分の言葉にしてみることで、
より理解を促すことができると思うからです。

それに、読んだ後にブログを書くということを読む前から決めておけば、
その本を読む姿勢も自然と「前のめり」になります。
普通に出席する会議と、
議事録を書くことを要求されて出席する会議とでは
集中力が大きく変わるのと同じ原理です。

そういう意味で言うと、
テレビも、同じ原理を利用すれば、
同じ番組を観るにしても、
より多くのことを学べるんじゃないだろうか、と。
そんなことを考えています。

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2012年2月12日日曜日

孫正義に未来を学び、佐野眞一に歴史を学ぶ。(『あんぽん 孫正義伝』を読んで)

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あんぽん 孫正義伝
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佐野 眞一
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ノンフィクション作家の佐野眞一さんが
書いた孫正義伝。

著者自ら、
「孫正義をテーマにしてこれまで書かれた
どんな本より、本書は百倍は面白い」
と豪語するだけあって、
かなり読み応えのある本でした。

何よりも、この著者の取材力は、
「凄まじい」の一言です。
「孫正義伝」でありながら、
そこに書かれていることの半分以上は、
孫さん本人も知らなかった事実ばかり。
孫さんもすごい人ですが、
この著者の「プロの技」には脱帽です。

孫家三代にわたるこの“物語”は、
途中でノンフィクションであることを忘れてしまうほど
強烈な出来事の連続で、
分厚い本ですが、どんどん読み進めたくなる
一冊だと思います。

個人的には、この本の面白さは、
孫さんと著者佐野さんが、
非常に対照的である点だと思います。

常に「未来」を語る孫さんと、
これでもかと「歴史」を紐解く著者。

まさに両極にいる二人の個性が、
読んでいて非常に興味深い限りです。

自分もこれまではどちらかというと、
歴史を軽んじてしまう傾向があったように感じますが、
この著者の言葉には、そういった自分の態度を
改めようと思わせる力があります。

飛躍的な技術革新を目の当たりにしたとき、
それに子どものように疑いなく飛びつくのではなく、
一度立ち止まり、その技術が生まれてきた
歴史の背景について、じっくり
考えをめぐらせなければならない。
そうした真摯な態度を忘れたとき、
人間は過去を葬り去る愚を犯すだけでなく、
本当の未来を見失う愚も犯す。

過去に固執し、
既存の枠から抜け出せないような生き方は嫌ですが、
歴史から学ぶことが多いのは事実だと思います。


その他、個人的に印象に残っているのは、
孫さんが言ったというこんな一言です。

「自分は記憶力や知識には自信がないけど、
考える力では誰にも負けない」

ちなみに、孫さんは、
日本ソフトバンクを設立した後、
3年半の長期入院を余儀なくされたのですが、
その時に、三千冊以上もの本を読んだそうです。

「知識」+「考える力」

当たり前ですが、
それに勝るものは無いのだと感じました。


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2012年2月5日日曜日

金持ちになるために必要な2つのこと(『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで)

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金持ち父さん貧乏父さん
ロバート キヨサキ シャロン・レクター(公認会計士)
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「超」が付くベストセラーなので、
読んだことがある人も多いと思いますが、
この本は若いうちに読んでおくべき一冊だと思います。

別にお金持ちになりたくて
この本を読んだわけではないのですが、
ここ最近、「お金」とか「金融」とか「経済」といった
ものに対してあまりにも無知な自分に、
漠然と不安を感じるようになり、今年は少し、
広告・マーケティング以外のことも勉強しようと思い、
そのとっかかりとしてこの本を読んでみました。


この本を読んではっきりしたこと。
それは、お金持ちになるためには、
以下の2つのことを実践しなければいけない
ということです。

(1)金持ちになりたければ、お金について勉強しなければならない。

言われてみれば当たり前のことですが、
改めて自分の人生を振り返ってみると、
小学校から大学までいろんな勉強をしてきたのに、
「お金についての勉強」なんて、
全くと言っていいほどしてきませんでした。
この本にも書かれていますが、
自分がお金を稼ぐために持っている唯一の技術は、
「一生懸命働くこと」だけなのです。

中流以下の人間はお金のために働く
金持ちは自分のためにお金を働かせる

これがこの本の中で「金持ち父さん」が教えてくれる
「第一の教え」なのです。

では、具体的に何を勉強すればいいのか。
作者が「ファイナンシャル・インテリジェンス」と呼ぶ
お金の知識は、下記4つの分野の知識から
成り立っていると説明されています。

①会計力
②投資力
③市場の理解力
④法律力

一応、広告の仕事をしているので、
③はこれまでも関心をもっていた分野ですが、
それ以外は、恥ずかしながら、
これまでかなり遠い世界にあったものです。

最近よく感じるのですが、
お金の世界というのは、
無知な人が損をする仕組みになっている気がします。
日本では特に、
「お金の話」をするのははしたないこととされていますが、
その弊害は想像以上に大きなものになっている
気がしてなりません。

親や学校が教えてくれないのであれば、
自分自身で勉強するしかないので、
少しずつでも始めてみようと思っています。


(2)資産と負債の違いを知り、資産を買わなければならない。

中流以下の人は、「負債」にばかりお金を費やし、
金持ちは、ただ「資産」を買うことにお金を費やす。
それが、この本の主張です。

資産と負債の違いについては、
以下のように定義されています。

資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく

実にシンプルですが、
世の中には、負債にばかりお金を使う人がほとんどです。

では、資産とは具体的に何を指すのでしょうか。

1.自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス
2.株
3.債権
4.投資信託
5.収入を生む不動産
6.手形、借用証書
7.音楽、書籍などの著作権、特許権
8.その他、価値のあるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など

以上が、作者が「本当の資産」と考えるものです。

そして、大切なのは、「自分が一番好きな資産」、
つまり興味関心を持続できる資産を手に入れることだそうです。
ただし、これを行うのは、
(1)で述べた、お金に関する知識を
十分に得た上での話です。
(ちなみに持ち家は資産ではなく負債だと書かれています)

これは個人的な意見ですが、
上記の中でも初心者が一番とっつきやすいのは、
投資信託ではないでしょうか。

自分が今唯一保有している資産は投資信託です。
投資信託を始める前には、わずかですが、
以下の本などを読んで勉強しました。

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
10万円から始める投資信託入門―初心者のための買い方・売り方ガイド
投資信託にだまされるな!—本当に正しい投信の使い方


投資的な話には賛否両論あると思います。
お金が全てじゃないですし、
この本にも書かれている通り、
金持ちになれば全てが解決するわけでもありません。
ただ、「お金の知識」は持っていて損はないですし、
今の日本人には、圧倒的に不足しているのも
事実だと思います。

ということで、今年は、そういった関連の本も、
たまには読んでいこうと思っています。

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