2012年5月20日日曜日

「給料」が上がる働き方とは?(『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』を読んで)

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僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
木暮 太一
講談社
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あなたは、自分の給料の額が、
自分の「努力」や「成果」に応じて
決まっていると思っていませんか?

自分は少なからずそう思っていました。

この本の前半部分では、
私たちがもらっている給料の構造を、
資本主義経済の本質から解き明かしてくれます。

結論だけ紹介すると、
日本のほとんどの企業では、
給料は、「必要経費の積み上げ」で決まっています。
「必要経費」とは、労働者が翌日また働けるように、
食事をとり、家で睡眠をとり、洋服を着替え、
気晴らしのために飲みに行く、などにかかる費用です。

ワーキングプアという言葉が当てはまってしまう人から
年収1000万円の高給取りまで、みんながみんな
「自分の生活には余裕がない」と感じているのは、
給料が「必要経費分」だからです。

私たちは、労働者として
働き続けるために必要な経費しか
給料としてもらっていないということのようです。

自分の業績によって、
多少給料(賞与)が変わったりしますが、
それはあくまで「プラスアルファ」の部分とのこと。
確かに、自分がほかの人より2倍の利益を会社にもたらしても、
自分の給料が2倍になることはありません。
給料のベースが「必要経費分」で決まっている
というのは納得です。

この「必要経費分」のことを
著者は、「労働力の価値」と呼んでいます。

単純に考えて、給料を上げるためには、
この「労働力の価値」を上げる必要がある
ということになります。

そして、この本の後半は、
「じゃあ僕たちはどういう働き方を選択すべきか」
という話につながっていくのですが、
その上で、僕が一番重要だと感じたのは、
「労働力の価値」には、
「その仕事ができるようになるために費やした労力」
も含まれる、ということです。

単純な例ですが、
医者の給料が高いのはそのためです。

労働力の価値を積み上げるには、
「自分の労働力を消費せずに投資する」
という考え方が必要です。
その仕事に必要な知識、技術、経験を地道に積み上げて、
他の人が同じことを身につけようとすると
長い時間と費用がかかるような「資産」を身につけるのです。

この考え方は非常に重要だと思います。
何も考えずに会社で働いていると、
「資産」を積み上げることなく、
ただ毎日「労働力を消費」していることに
なりかねません。

また、自分が今やっている仕事が、
自分よりも何年も若い社員でも、
全く同じようにできるのであれば、
自分は資産を積み上げてこなかった、
つまり、労働力の価値が上がっていない
ということになってしまいます。

自分自身に毎日問うべきなのは、
「資産を作る仕事を、今日はどれだけやったか?」
という質問です。
これは、折に触れて自問するようにしてください。
日々忙しく駆けずり回っていても、
この質問に答えられないようであれば、
立ち止まって考え直すべきです。

この箇所はかなり心に突き刺さりました。

そして、この本の最後に紹介されている、
アンソニー・ロビンスというアメリカ人「コーチ」
の言葉も、素晴らしい言葉です。

「ひとは、1年でできることを過大評価し、
10年でできることを過少評価する」

この本、一読されることを、
強くお勧めします。

資本主義経済において、
「働く」ということ、
そして「給料」の意味(本質)を
考え直すきっかけになります。
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フレームワークが必要な理由(『実践マーケティング戦略』を読んで)

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図解 実戦マーケティング戦略
佐藤 義典
日本能率協会マネジメントセンター
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この本は、別に新しい本ではないけど、
読んで非常に「ためになる」本だと思います。

この本では、
マーケティング戦略を考える上で使える
下記5つのオリジナルツールが紹介されています。

①戦略BASiCS
②マインドフロー
③ニーズの広さ深さ
④売上5原則
⑤プロダクトフロー

この中の戦略BASiCSというフレームワークについて少し紹介します。

B:Battelefield 競争の場・戦場
A:Asset マーケティング資産
S:Strength 強み・差別化ポイント
iは、語呂合わせ
C:Customer 顧客ターゲット
S:Selling Message 売り文句

Battlefieldというのは、
つまり、どのカテゴリーで戦っていくのか、
ということ。
ポジショニングの概念に近いと思います。

Asset(資産)とStrenth(強み)の違いは、
少しわかりにくいですが、
本文を引用すると以下の通り。

資産は、会社にあるもの、
強みは、強みと認識された結果
お客様の頭の中にあるもの、ともいえます。

例えば、スターバックスなら、
「従業員教育」が資産で、
「親しみやすい従業員対応」が強みになります。

CustomerとSelling Messageは
説明するまでもないと思います。

マーケティング戦略を考える上で、
これら5つの整合性が
きちんと取れているかどうかを確認することが大切、
という話です。

これは、今自分が担当しているクライアントで、
一度試してみる価値があると思います。
また、競合企業と比較してみることも
戦略を考える上で非常に有効だと感じました。

このようなフレームワークの類は、
他にもいろいろありますが、
フレームワークの良いところは、
「チェックリスト」として機能するところにあると思います。

この本にも、下記のように書かれています。

様々なツールを使う理由の1つは、
「脳に考えることを強制させる」ことでもあるのです。

その会社の強みやターゲットなどをあまり深く考えずに、
「Selling Message」を考えているようなことって
意外と多い気がします。
そんな時に、こういったフレームワークを
活用することは、「強制的に考えさせる」という意味で、
非常に有効だと思います。


その他、この本を読んで、
印象に残った箇所をいくつか紹介します。

■マス戦略かニッチ戦略しかない

マーケティング戦略には、
マクドナルドのような、
数を求め、大規模化による低コスト戦略(=マス戦略)か、
モスバーガーのような、
特定の市場を深く掘る、高付加価値独自化戦略(=ニッチ戦略)
しかない、という話。
しかも、マス戦略を取れる企業はかなり限られるので、
殆どは、ニッチ戦略を取るしかないとのこと。

■売上を上げる方法は5つしかない

売上げを上げるには、
①新規顧客の増加
②流出顧客の減少
③購買頻度の増加
④買上点数の増大
⑤1点当たり商品単価の向上
の5つの方法しかない、という話。
ここでは、結論の5つしか書きませんが、
何故そうなるのかをロジカルに説明できると、
なんかちょっと頭が良さそうな感じがすると思います。(笑)

■意外と軽視される流出顧客対策

これは、自分も広告の仕事をしていて、
前からかなり感じていたことでもあるけど、
既存客の流出よりも新規顧客の獲得に
かなりの力を入れる企業が多いが、
既存顧客の流出は、想像以上に、
売上へのインパクトが大きいという話。

などなど。

マーケティングに携わっている人は、
一度読んでみてはいかがでしょうか。


久しぶりにマーケティングの本を読んだら、
自分はもっとマーケティングの勉強がしたいんだ、
ってことに改めて気がつきました。。

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2012年5月6日日曜日

自分の欲求を知り、幸せな人生を送る(『本当に欲しいものを知りなさい』を読んで)

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本当に欲しいものを知りなさい―究極の自分探しができる16の欲求プロフィール
スティーブン リース
角川書店
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この本はもう何年も前に読んだ本ですが、
GWに改めて読み返してみました。

ちなみに、今までいろんな本を読んできましたが、
この本は、その中でもかなり上位に入る
お勧めの一冊です。

この本の趣旨としては、まず、
あなたの「基本的欲求(=本当に欲しいもの)」が
何なのかを知ることが重要で、その基本的欲求を、
仕事や家庭生活などを通じて満たしてあげることで、
幸せな、生きがいのある人生を送れる、ということです。

<16の基本的欲求>
基本的欲求は以下のように大別されます。

●力   ●独立 ●好奇心 ●承認
●秩序  ●貯蔵 ●誇り  ●理想
●交流  ●家族 ●地位  ●競争
●ロマンス●食  ●運動  ●安心


たいていの人は、
これらの基本的欲求の中でも、
ほんの2つか3つの欲求に強く刺激されるそうです。
それがあなたの「本当に欲しいもの」です。

この本にはそれぞれの欲求ごとに、
いくつかの質問が用意されており、
この本を読めば、あなたの
「本当に欲しいもの」が何かを知ることができます。
(上の16個を眺めてもはっきりとはわからないと思います)

自分の基本的欲求が何かをしっかりと認識し、
その欲求がどうしたら満たされるのか
日々意識することができれば、
著者が言うように、非常に有意義な人生が送れる気がします。

また、この本に書かれているもう一つの重要なことは、
自分のまわりにいる人の基本的欲求を知ることも
非常に意義があるということです。

人それぞれ、基本的欲求は異なります。
つまり、自分にとって最高のものが
別の人にとっても最高のものであるとは限らないということです。
しかし、人はしばしば自分の価値観を
他人に押し付けてしまうことがあります。
人の基本的欲求を知ることができれば、
本当にその人と理解し合えることにつながるはずです。


ここからは自分の備忘録的なものになってしまいますが、
この本によると、
僕の「本当に欲しいもの」は以下の3つです。

●力  ●好奇心 ●秩序


以下、この本からの一部抜粋です。

【力】
この欲求が強い人は、
なにかを達成したり指導力を発揮したりすることで、
幸せを感じることができる。
仕事やキャリアで成果を上げると、
自分に力(影響力)があることを感じたいという
欲求が満たされる。
力への欲求が強い人は野心的で、
自分にやりがいのある目標を掲げる。
大きな目標を掲げながら働いたり、
目標について考えたりするだけでも、
力への欲求は一時的に満たされる。

【好奇心】
この欲求が強い人は、
知識や情報を得ることで、好奇心が満たされ、
幸せを感じることができる。
旅行をする、市民講座を受ける、読書の時間をつくるなど、
自分の知識を増やすことで、この幸せは増大できる。
仕事を通じてなにかを学ぶ方法には、
出張で知らない場所に行く、新しい技能を習得する、
情報を収集して分析することなどがある。

【秩序】
この欲求が強い人は、毎日の生活が自分の望み通りに
秩序立っていれば、安心した気持ちになれ、
幸せな生活を送れる。いつも通りの行動をとる、
日課をつくる、いろいろな活動の計画を立てることなどで、
秩序を保ちたいという欲求を満たすことができるだろう。
この欲求は、なにかを組織したり、計画を立てたり、
スケジュールを管理したり、細かいことに気を配ったり、
規則を守らせたり、儀式的なことを行う必要のある
仕事に携わることで満たされる。
この欲求では整然とした状態も志向するから、
整頓された清潔なオフィスで働くことでも、
秩序立った感覚やものごとの予測がつくという
感覚を味わえるだろう。

確かに自分は、
目標を立ててそれを達成することにやりがいを感じるし、
本を読んで、知識や情報を得ることも好きだし、
計画を立てたり整理整頓することも好きです。

そんな自分の基本的欲求を多く満たすことができる
人生目標を立て、日々過ごしていければいいなと思います。

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2012年5月5日土曜日

マクドナルド創業者レイ・クロックから学んだ3つのこと(『成功はゴミ箱の中に』を読んで)

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成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
レイ・A. クロック ロバート アンダーソン 野地 秩嘉 孫 正義 柳井 正
プレジデント社
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ユニクロの柳井さんとソフトバンクの孫さんが
二人並んで「これが僕たちの人生のバイブル」
と書かれた帯に惹かれてこの本を読んでみました。

この本を読むまで、
正直、マクドナルドの創業者レイ・クロックという
人物のことは全く知りませんでしたし、
マクドナルドという会社が
どのようにして生まれたのかも知りませんでした。

レイ・クロックがマクドナルドのビジネスを始めたのは、
意外にも、彼が52歳の時で、
しかもそれまでは、飲食業に携わっていたわけでもないのです。
マクドナルドというお店が、
創業者のレイ・クロック自身が一から始めたお店ではなく、
もともとは「マクドナルド兄弟」が営んでいた
小さなお店だったということさえも知らなかった自分にとっては、
まさにこの「アメリカン・ドリーム」なストーリーが、
非常に興味深く、読んでいて楽しいものでした。


①仕事を楽しむ

この本を読んでいて一番感じたのは、
「レイ・クロックは本当に仕事が楽しくて仕方ないんだろうなぁ」
ということです。

レイ・クロック曰く、

仕事とは、その人の人生にとって
ハンバーガーの肉のような存在である。
『仕事ばかりして遊ばなければ人間駄目になる』
という格言があるが、私はこれには同意しない。
なぜなら私にとっては、
仕事が遊びそのものだったからだ。

彼が特に楽しんでいたのは、
メニュー開発と新店舗の不動産開発だったそうです。

仕事なので、何から何まで「楽しい」というのは
なかなか難しいことだとは思いますが、
少なくとも、今自分がやっている仕事の中で、
「これをやってる時が楽しい!」というものは
しっかり持っていたいし、
それが一つもない仕事は、
続けるのが非常に難しいだろうな、と思います。


②リスクをとる

幸せを手に入れるためには
失敗やリスクを超えていかなければならない。
床の上に置かれたロープの上を渡っても、
それでは決して得られない。
リスクのないところには成功はなく、
したがって幸福もないのだ。

なかなか突き刺さる言葉だなぁと思います。

最近やたらと投資の本を読んでいたのですが、
投資の世界では、「No Risk, No Return.」
というのが基本原則です。
それはビジネス、仕事においても
一緒かもしれません。

失敗を恐れず、リスクをとる。
簡単ではないけど、必要なことだと思います。


③やり遂げる

印象に残っているレイ・クロックの言葉を
最後にもう一つ。

やり遂げろ
―この世界で継続ほど価値のあるものはない。
才能は違う
―才能があっても失敗している人はたくさんいる。
天才も違う
―恵まれなかった天才はことわざになるほどこの世にいる。
教育も違う
―世界には教育を受けた落伍者があふれている。
信念と継続だけが全能である

確かに、
継続ほど価値のあるものはないと思います。
ただ、何でも「継続」すればいいという
ことでもないと個人的には思います。
レイ・クロックの言葉にあるように
「信念と継続」つまり、
「信念をもってやり遂げること」が重要であり、
レイ・クロックにとってのマクドナルドがそうであったように、
「信念をもってやり遂げたい」と思える何かを
見つけることが重要なのだと感じました。


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